GRⅢ

Category : blog, News
Date : February 28, 2019

 

この度、ぼくにとっても初めての経験として、カメラのカタログの撮影しました。今までも、この“GR”というカメラを、勝手に「空カメラ」などと言って、それこそ初代「GR digital」からずっと使ってきたし、好きだったから、ということも、今回の大きな理由のひとつではあるのですが、なによりものきっかけとなったは、担当者でもある野口さんの大いなる信頼と理解があったからこそ。そして今や時代はデジタルではあるのですが、ぼくはずっと「プリントが写真。」そう思って生きてきましたし、どうやらその思いはこれからも変わらなそうです。

ですので今回も、当初より“カタログ”という紙媒体において、どうしたら少しでも、そんな“写真”そのもののすがたをかたちに出来るのかを模索しました。そして、ぼく自身も初めての経験ということもあって、原点回帰ではないですけれど、そのような意味も含めて、今一度改めて自身の“写真”が始まった道を、このカメラで辿ってみたいと考えました。

というわけで、撮影地は“PARIS”。

30年前のぼくは、パリにおける初めての外国暮らしの中で、特に最初の頃は本当に一人だったこともあって、言葉の問題だけではなく、いつの日も、そしていつどこにいても、大きな孤独感を感じていました。そしてその中で一人、カメラを片手に街を彷徨いながら、写真のようなものを日々撮影していました。そんなパリの毎日の中で、少しずつ少しずつ、ぼくの写真が始まって行ったような。
そんなパリの中で、ぼくが今でもいつも行く場所のひとつが「ルーブル美術館」の「ギリシャ彫刻」の部屋。その部屋は一日中外光が入るのですが、その光の中で、いつも誰かしらが写生をしていたり、かなりしっかりと写真を撮っている人々がいます。そこにあるのは当然のことながらギリシャ時代に、様々な表現のために創られた彫刻たち。ぼくはそれらを目の前にすると、いつも子供の頃から好きだった天文だったり、ギリシャ神話に思いを馳せます。やがてその中に自分の居場所のようなものを見つけながら、現在のぼくにとっての写真へと繋がっていく、まさに原点そのもの。
同じ頃、ぼくはこの街で“バレエ”という芸術に出会いました。それは身体というか人間の肉体の大いなる可能性と共に、他のものに例えることが出来ないほどの美しさを体感し、そしてぼくは「シルヴィ・ギエム」というバレリーナに夢中になっていました。

そんなギリシャ彫刻とバレリーナを、共に同じ視点で見つめてみたいとずっと思っていました。

 

 

そしてもうひとつ、パリという街は「芸術の都」と呼ばれるように、本当に様々な芸術で溢れています。絵画なども、観ようと思えば小一時間の間に、数点の名画に出会うことが出来ます。写真のギャラリーもたくさんあって、毎年11月には“写真月間”ということで、パリ中のギャラリーが写真展で埋め尽くされます。そんなフランスにおいて、それこそ初めて“印画”という技術によって、一気に写真術を広めた発明家が“ニセフォール・ニエプス”です。いつかパリ郊外にある彼のアトリエに行ってみたかった。そして、そんな1800年代初頭に現代に通じる写真術が発明されたその場所で、この“GRⅢ”という新しいデジタルカメラで撮る写真は、いったいどんなすがたを見せてくれるのであろうか。

そんなことを考えながら、あれから30年経った今、変わってしまったところもたくさんあるけれど、あの頃と同じように、毎日朝から晩まで新しい“GR”と共にパリの街を歩きました。そうして生まれたたくさんの写真の中から、本当に絞りに絞って、その上通常のカメラのカタログに比べると、なんのコピーもない、スペックは最後のページにあるだけ、といった具合に、まるで写真集のようなカタログです。

「カメラは、写真を撮るための道具。」

そんなぼくと野口さんの思いが、たくさん詰まったカタログ。
本日より「CP+」も始まりますし、全国のカメラ店の店頭にも並んでいるようですので、是非とも、そんなカタログを手に取って観ていただけたらうれしいです。

また詳細は、また追ってお知らせしますが、
3/20より銀座と新宿にて、そして5/8より大阪にて、展覧会を予定しています。
よろしくお願いします。

 


右ページの写真は「ニエプス」のスタジオにて。なんと傍らには、天体望遠鏡が

 


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