展覧会「今日の空」
9/3金曜日より、こんなご時世ではありますが、新宿のビームスジャパン5Fにある「Bギャラリー」にて、20年続けて来た「今日の空」の展覧会を、その発案者でもあるBEAMSの舘野さんの気持ちに応えて、追悼の意を込めて開催したいと思います。この「今日の空」は、本来ウェブコンテンツですので、今回は普通の展覧会ではありません。ですので、是非会場で、その生のすがたをご覧ください。
また今回の展覧会に合わせて、自身の「今日の空」のページ内において、これまでの20年の写真全てに対して、日付はもちろんのこと、すべての撮影地も検索出来るようになりました。というわけで今回は会場にて、皆さんにとって特別な日、大切な日の空の写真のプリントもオーダー出来るようになっています。本来は、ぼくの日常の上にある、光としての空の写真ですが、そのことで皆さんと共有出来るようになりますよね。そしてもしかしたら、そのことこそが写真本来のすがたなのかもしれません。
そして今回は、BEAMSさんと一緒ということもあって、たくさんのグッズも生まれました。写真はもちろんのこと、そんな20年の空から生まれたたくさんの光の産物を、是非観ていただけたらうれしいです。
菅原一剛『今日の空』展
開催期間:2021年9月3日(金)- 10月03日(日)
開催店舗:Bギャラリー
〒160-0022 東京都新宿区新宿3-32−6 ビームス ジャパン5階
電話番号:03-5368-7300(代表)
同じ空は一日もない
同じ写真は一枚もない
「光を観るために空を撮る」と始めた「今日の空」も、早いもので、今年で20年目だ。過ぎてしまえば、早いなどという言葉も出てくるが、いろいろあった20年でもある。
今回、写真展のためにすべての「今日の空」を見直した。驚いたのは、どの空も、ぼくが過ごした日常の記憶をはっきりと思い出させてくれたことだ。それぞれの空の下に、その日に起きた出来事がある。それは改めて、写真というものの大きな役割を感じた瞬間でもあった。これを続けてきたことは、現在のぼくの大きな礎である。
1年前、同じ時間を共有してきた大切な友人が空に逝ってしまった。「『今日の空』が20年を迎えたら記念に展覧会を開きましょう」と言ってくれていた、ビームスの舘野史典(たてのふみのり)さんである。展覧会の時には、必ず初日には舘野さんがいた。カメラバッグをはじめとして、たくさんの商品を一緒に作った。いつの日もどんなときも、ぼくの制作の現場で側にいてくれた。いまも、悲しくて、悲しくて仕方がない。いまは会うことができないけれど、せめてこの展覧会を、空の上にいる舘野さんに捧げます。舘野さん、ありがとうございました。
菅原一剛
新しくなった「今日の空」2021.09.02 start
9/4.5と、9/25.26だけになってしまいますが、その日はぼくも在廊しています。
とにかく、この展覧会「今日の空」開催に対して、本当に多くの方々のお力をお借りしました。
まずは、このぼくの「今日の空」ウェブサイト内において、今まで撮影してきたすべての写真に対して、その日付や場所などを検索できるようなプログラムを組んでいただいたトリプルクラウンズの前野久美さん、そしてぼくのウェブサイトそのものを創っていただいた青木崇さんに、今回の検索サイトのデザインもお手伝いいただきました。そして、この「今日の空」を始める前からずっと長きに渡って共に、たくさんの時間を共有してきた立沢トオルさんが、そのタイトルロゴはもちろんのこと、今回のすべてのグッズの監修をしていただきました。そんな立沢さんが組んでくれた美しいタイポグラフィが「Watanabe’s」渡邉健太さんの手による藍染めスラブTシャツとなって完成しました。また「JOCKRIC RECLAIM」黒川勝志さんが縫製上で余った布たちを合わせて縫製していただいた、覆い焼き棒を収納するポケットや手ぬぐいかけ、なんでも入る大きなポケットが付いた前代未聞の「暗室用エプロン」。立沢さんが「moonlight gear」千代田高史さんと共に活動している「unhalfdrawing」のスウェット。立沢さんがぼくのためにおよそ20年前にタイポグラフィを組んでくれた「LIGHT SIGHT SHADE」ロゴが「MiiR」社の限定ステンレスボトルとなって蘇りました。そして、ぼくが毎日カメラや手帳などを入れて持ち歩くのにちょうどいい、自動車のレザーシートを再利用した革製のサコッシュもギリギリ間に合いました。などなど、本当にたくさんのグッズが出来上がっています。とにかくすべてがいいものなので、こちらも併せてお楽しみいただけたら嬉しいです。それ以外にも、今回もいつにも増して美しい印刷をしていただいた大洋印刷さんをはじめ、皆さん本当にありがとうございました。館野さんも、きっと喜んでくれているでしょうね。
最後に、それこそ一番観ていただきたい写真のお話しです。今回、この写真展に際して、ぼくはこんなウェブコンテンツであっても写真は写真なのだから、やはりプリントという実体のあるかたちとして再生したいと考えました。そこで、ここ数十年共に制作を進めているプリンターの久保元幸さんと共に、久保さんが創るおそらく世界で一番光る湿板写真の技法を使用して「光る富士山の写真」を15枚限定でプリントしました。これはまさにぼくにとって「光を観るために、空を撮る。」と、20年前に始めた「今日の空」そのものすがたとも言えるのかもしれません。
そんな写真のお話しはもちろんのこと、この「今日の空」について、またまたこの20年の「カメラ」について、そしてこうやってたくさん生まれた商品たちの話などなどを、立沢さんそして永井さんと共にいろいろ話していますので、こちらもお聴きいただけたら、少々照れくさくもありますが、おそらくこの展覧会をより楽しんでいただけるのではないかと思います。
とにかく、くれぐれもお気を付けてご来場ください。皆さんとお目にかかれるのを、楽しみにしています。よろしくお願いします。